正しい「資金繰り」の考え方、4つの手順

コロナで会社を潰さない

不確実性の世界におけるクライシスマネジメントにおいて大事なことは、どうなるかわからない外部状況の変化におろおろするのではなく、自分でコントロールできることを明確にし、できることを精いっぱいやることである。

【手順1】シナリオ作成
手元に必要なお金を明確にする

まず気にすべきは、お金である。最低どれだけ手元に現金を持っておけばよいのか。そのためのシナリオ作成が重要となる。

シナリオとしてはまず、(1)最悪、(2)悪い、(3)まあまあの3通りを作ろう。詳細なものである必要はまったくない。売り上げが7割減、5割減、2割減、くらいの3通りで考え、その状態が3年くらい続く、2年くらいで回復する、1年くらいで急速に回復する、といったケースを想定する。

そして3~5通りくらいのシナリオをざっくりと作る。そうすると会社の現金や株主資本がどのような状況になるか、改めておおよそ見える。見たくないものを見るのは嫌だが、これをやらないと、このあとどのくらいお金を調達しておけばよいかがわからない。

【手順2】給付金や借入金の確保 受けられる支援は全部受ける

シナリオ作成でお金がどのくらい足りないかはわかった。しかし売り上げはなくとも支払わなければいけない毎月の支払いがある。お金が足りなければ(足りていても)、国、自治体の支援を受けられるものは全部受ける。

借入金の確保(今回は実質無利子で借りることができる。できるだけ借りておこう)、不稼働資産(オフィス)の家賃の減額要請、余裕のあるスペースの返却、金融資産の売却、場合によっては引っ越しも検討する。引っ越し費用その他は給付金や借り入れを充当しよう。

たまにお金が調達できたところで、ホッとして気が緩むことがある。これは絶対にNGだ。原価の削減、経費の削減は当たり前。すぐにやるべし、である。そして、シナリオ作成の結果、事業が立ち行かないことがわかれば、廃業もあり得る。

【手順3】優先順位を決める
メイン顧客を死守、プロジェクトを白紙に

次にやるべきは、優先順位を決めることである。中堅企業が大企業と大きく違うのは、1つか2つの顧客が全体の売り上げに占める割合、1つか2つの商品の全体の売り上げに占める割合が高いことだ。メインの顧客から切られたら、その商品が作れなくなったら、終わりである。

顧客企業の調達量が半分になり、調達先が3社から1社になるのであれば、その1社に残らなくてはならない。社長自らが何度でも先方に連絡して、先方の要求を聞いて商品の改良やコストダウンを約束し、その1社に残らなくてはならない。メインの商品の部品が調達できなくなりそうであれば、可能性のありそうな会社にかたっぱしから連絡をとって、どうにか作るしかない。

メインの顧客、メインの商品を何が何でも守る切られてもいいところ、作れなくてもよい商品の対応は後回しでよい。もともと薄利か赤字になっている商品が多いのだ。粗利があまり出ていない取引はやめる。そのための良い機会と考えよう。

そして、全プロジェクトの白紙化を行う。過去の判断ではなく、いまこの状況で、このビジネスを推進しますか?と問いかける。そして、ダメなものはすっぱりとやめるのだ。

問題はサンクコスト(埋没費用)といわれるものである。ここでやめると、掛けてきたお金とエネルギーのすべてが無駄になるので、なかなかやめられない。しかし、コロナによって、事業環境そのものが大きく変わったのである。

【手順4】雇用問題に着手
希望退職を募ることも

次に避けて通れないのが雇用問題である。状況が好転し、すぐに人手不足になる可能性もないわけではない。しかし、シナリオ分析の結果、すべての雇用を維持し続けられないのであれば、希望退職を募らざるを得ないかもしれない。中堅企業の場合は、社員全員の顔が見えるだけに、希望退職を募るのは厳しく悲しい。ただ、お金が借りられる状態であれば、退職金もしっかり出せる。

ここまで、4つの手順を説明してきた。何よりも重要なことは上記のようなことを実行することである。いろいろ迷いも出るし、自信を持てないことも多い。ただ、迷っているだけでは何も好転しない。多少の間違いや失敗は必ずある。

そしてできるだけ、谷を短く、早く空気を前向きに変える安全なところまで引いて盛り返す。ここを生き残れれば強くなれるのだ。そして、新たな時代に対応できる事業や商品を伸ばして、事業ポートフォリオの変換を図る。ピンチはチャンスと捉え、未来に希望を見いだしたい。

このように、不確実な時代のクライシスマネジメントにおいては、経営者は常に緊張を強いられるから、強い意志を持ち続けなければいけない。決してあきらめない姿勢こそが自らと会社を救う。いろいろつらいことも多いけれども、勇気を持ってやりきることが重要だ。

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