開業間もないクリニックの資金繰り

限られた資金調達法

一般的に医療機関は「病院」と「クリニック」(診療所、医院)の2つに分けられる。病院は複数の診療科と20以上の病床を持ち、大規模病院や地域医療を支える中核病院、地域密着型病院などに細分される。

一方クリニックには、病床数が1~19の有床診療所と、病床を持たない無床診療所のほか、歯科診療所がある。

クリニック開業時、約半分の院長は手元資金が乏しく、政府系の日本政策金融公庫の開業支援融資を頼ることが多いのですが、問題は開業後10年間の運転資金と設備資金です。運転資金は毎月の家賃や人件費、設備資金は新しい機器や道具の購入費です。

資金繰りでまず問題になるのは、運転資金です。なぜなら、開業してすぐ黒字になるクリニックはまずありません。患者さんが徐々に増えて損益分岐点を超えるには10年程度必要です。また、診療報酬が社保・国保から入金されるのは請求の約2ヵ月後なので支出が先行します。さらに開業融資の返済もあります。

次に問題になるのが設備資金です。小児科、耳鼻科、皮膚科、婦人科、心療内科などはあまり機器や道具を使わないので問題ないのですが、内科、消化器科、整形外科、産科、歯科などはレントゲンやエコーなど新しい機器や道具を、故障した場合も含め、適宜導入していかねばなりませんので、開業後10年以内かどうかに関わらず、まとまった資金が必要になります。

一般診療所の損益差額は29.9%であり、多くのクリニックは余力がある

診療報酬の入金までには時間がかかり、まとまった金額の設備資金も必要。そのため、開業から10年ほどは、資金繰りが安定しない――。クリニック経営は、我々が思っている以上にシビアな世界のようだ。ではクリニック経営者は、経営安定化のために、どのような対策を講じているのだろうか。医療機関で利用されている主な資金調達先は、金融機関、ファクタリング会社、リース会社の3つがある。

金融機関は、融資という形を取り、運転資金・設備資金両方に対応可能で、金利コスト低く長期返済も可能だ。ただ、審査が遅いので、日中の診療で忙しい院長が求める資金調達スピードに追い付かない。

ファクタリング会社は、社保・国保向けの診療報酬債権を買い取る方式を取る。運転資金のみの対応で、スピードは速い高コストだ。

リース会社は、運転資金・設備資金両方に対応。運転資金はファクタリング会社と同じく診療債権を買い取るもので、スピードは速いが高コストだ。設備資金はリース、簡単に言えば途中解約しづらい長期レンタルのようなもので、利便性もある反面、定価ベースでリース料を取られるため購入するより割高となったり、長期間拘束されるなどのデメリットもある。

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