会計を経営に役立てる

「経営に役立つ戦略会計」の考え方と分析の仕方をご紹介します。

●企業経営における会計の役割

会計とは、一般に、金銭や物品の出納を、貨幣を単位として、記録、計算、管理等することであり、「情報の利用者が、事情に精通した上で、判断や意思決定を行うことができるように、経済的な情報を識別し、測定し、伝達するプロセスである。」といわれています。

日本では全ての企業で会計業務を行っています。

なぜなら、全ての企業に納税義務があり、法人税や消費税等を税法に基づく会計処理で計算する必要があるからなのです。

「日次決算のすすめ」

●採算の眼を養う

「この事業(店舗)は採算が取れそうか」という検討をすることはよくあります。

ところで、このときの「採算が取れる」とはどういう意味なのでしょうか。

「採算が取れる」とは、単純にいえば「利益が出る」ということです。法律で全ての企業に義務付けられている「制度会計」において「利益が出る」とは、収益(売上)が費用(原価・経費)を上回った状態を指します。

しかし、「採算」をこのように見てしまうと、「利益」を増やすには、「売上」を増やすか、「費用」を減らすしか方法がないということになります。

「企業方程式」を活用する

企業方程式」とは、聞きなれない名前だと思いますが、1981年8月に西順一郎氏によって発見されたものです。
「企業方程式」は、コロンブスの卵で、言われてみれば当然のことで、誰でも分かる簡単な公式なのですが、見たことも聞いたこともないという人がほとんどではないでしょうか。
この「企業方程式」を知れば、利益を上げる「ツボ」がどこにあるのか分かるようになるのです。

西順一郎氏は、次の「企業方程式」も開発されています。

PQ=VQ+F+G

 慣れない方のために、“日本語”で表すと、

売上=変動費+固定費+利益

となります。

 いわれてみれば、何ともない当たり前の式のようですが、これを利用することで、
戦略的発想ができるのです。

 まず、売上を通常の経営分析で使用するように「S」とは言わないで、
「PQ」、つまり「P×Q」としているところがミソです。

 通常会計にはない「Q」(数量)の要素を加えることにより、「売上」を
PとQに分解して考えることになります。

 また、経費をV(変動費)とF(固定費)に分けて考えます。これは、
損益分岐点分析をやってみた方は一応わかると思います。

 さて、この企業方程式を変形してみましょう。

  基本形 PQ=VQ+F+G

  P公式 P=(VQ+F+G)/Q

  V公式 V=(PQ-F-G)/Q

  Q公式 Q=(F+G)/(P-V)

  F公式 F=PQ-VQ-G

  G公式 G=PQ-VQ-F  

 このうち特に重要なのは、P公式、Q公式、G公式です。

 P公式は「値付けをする公式」です。いくらの値段で売れば利益が出るのか、
ということです。

 Q公式は、どれだけ売れば利益が出るのか、ということであり、

 G公式は、いったいいくらの利益が出るのか、ということです。

 ただ単に「売上を上げなさい」というよりも、「○個売りなさい」、「値段を○円上げなさい」
といった具体的なことがわかると、行動にうつしやすいものではないでしょうか。
 また、ただ値引きしてでも売上をあげようとする場合と、「○円までは値引きしてもOK」ということがわかったうえで値引きするのとでは、利益が大きく違ってくるのです。

  (参考:西順一郎「企業方程式」ソーテック社)

利益感度分析を行う

利益感度分析とは価格・数量・変動費・固定費から利益に与える影響度を数値化したものです。利益感度分析により今後の利益を出していくための会社の方向性を決める1つの参考資料となります。もちろん利益感度分析は日々の正しい帳簿から導き出していくものです。過去の情報を将来に生かす、これが未来会計であり、そのために財務分析をします。

利益感度分析の仕方

上記のようにボックス図を描いてみるとわかりやすくなります。
まず利益感度分析をするには価格・数量・変動費・固定費の損益分岐点を求める必要があります。

利益を求めるには・・・PQ△VQ△F=Gとなります。
損益分岐点というのは、利益がゼロとなる場合の価格・数量・変動費・固定費の金額となります。

価格Pの損益分岐点はPQ=VQ+Fとなりますので、P=(VQ+F)/Q
数字を入れてみるとP=(500+400)/10=90の時に利益がゼロとなります。

同様に数量Qの損益分岐点は(PQ△VQ)=F☞(P△V)Q=FとなりますのでQ=F/(P△V)
数字を入れてみるとQ=400/(100△50)=8個販売したら利益がゼロになります。

同様に変動費Vの損益分岐点はVQ=PQ△FとなりますのでV=(PQ△F)/Q
数字を入れてみるとV=(1,000△400)/10=60の場合利益がゼロとなります。

同様に固定費Fの損益分岐点はF=PQ△VQ
数字を入れてみるとF=1,000△500=500の場合利益がゼロとなります。

上記各要素の損益分岐点が求められましたら次は実際の価額との比較をおこないます。

損益分岐点価格90に対し実際の価格は100であるから(100△90)/100=0.1☞10%割引したら利益ゼロとなります。
数量は(10△8)/10=0.2☞20%、変動費は(60△50)/50=0.2☞20%、固定費は(500△400)/400=0.25☞25%となります。

上記割合が低い方が利益に直接影響する(例:価格は10%下落で利益がなくなるのに対し数量は20%減少したら利益がなくなるつまり価格1%下落と数量1%減少では、価格1%下落する方が利益は減少することがわかる)ので、価格<数量=変動費<固定費となります。価格を上げることが利益を効率よく上げられ、固定費は逆に利益効率は良くないことがわかります。

利益感度分析の簡便法

全編では利益感度分析の算出方法をお伝えしましたが、利益感度分析をするには、まず各4要素(価格・数量・変動費・固定費)の損益分岐点売上高を求めそこから、各4要素(価格・数量・変動費・固定費)の実際額の比率を出すという2段階の計算をしなければ求めることができませんでした。今回はその2段階の計算方法を用いなくても簡便的に計算できる方法をご紹介します☺
それは・・・経常利益を各4要素(売上高・粗利益額・変動費・固定費)で除するだけです!!

価格の利益感度 :100÷1,000=0.1☞10%
数量の利益感度 :100÷500=0.2 ☞20%
変動費の利益感度:100÷500=0.2 ☞20%
固定費の利益感度:100÷400=0.25 ☞25%

なんと今まで2段階で計算していた数値と一致しました!!つまり経常利益を各4要素(売上高・粗利益額・変動費・固定費)で除するだけで簡便的に利益感度分析が行えるのです。ただし価格は売上高を使い、数量は粗利益額を使うという点だけ異なりますのでこの点だけ注意してください。分子の経常利益を各4要素(売上高・粗利益額・変動費・固定費)で除するということは、分子は一定で分母が変化するので、分母が大きいほど利益感度は高い(利益効率が高い)ことを意味します。つまり売上高が一番大きくなるので、単価を上げることが一番利益効率が良いということになります。(変動費が売上を超えれば変動費になりますが、一般的なビジネスモデルでは考えられないので)

利益感度分析の方法

先ほども書きましたが、分子の経常利益を各4要素(売上高・粗利益額・変動費・固定費)で除するということは、分子は一定で分母が変化するので、分母が大きいほど利益感度は高い(利益効率が高い)ことを意味します。
ですので、売上高・変動費・粗利益・固定費の絶対額で利益効率がわかります・・・基本的には売上高が一番金額の絶対値が大きくなりますので、価格戦略が一番利益効率が良いということになります。

ただしそれだけでは利益感度分析の意味がありません。あくまで先ほどの考え方は変数が1つという考え方なのです!つまり、価格を10%上げても他の要素(動費・粗利益・固定費)は変わらないという前提の下での利益効率となります。価格戦略で価格を10%上げれば、もちろんそれに伴い数量が落ちるのは容易に想像ができます。(変動費や固定費も若干変化する可能性もあります。)したがって、価格戦略を考える際に、他の要素の変化も予測して行うことが大事となってきます。また価格を10%上げるということは、単価も影響します!100円の商品を10円値上げするのと100万円の商品を10万円値上げするのでは、値上げによる数量の影響は当然ながら単価が高い方が影響を受けます。

今回の設例では、価格は利益感度10%に対し数量は20%となっております。価格と数量の感度は1対2となっています。つまり価格を10%上げたことにより数量が20%下がると、経常利益は変わらないということになります。したがって、価格を上げつつ、数量への影響が最も低くなる(利益効率が最大)となるよう、価格を設定していくのが重要となってきます。そのための判断材料として利益感度分析を使うのです!

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