Contents
- 1 【STEP1】入金と出金を具体化する
- 2 【STEP2】入出金を3つの区分に分ける
- 3 【STEP3】「実績」と「予定」の項目に分ける
- 4 【資金繰り改善の方法その1】経常収支と経常外収支を区別する
- 5 【資金繰り改善の方法その2】売掛金や受取手形の回収サイトを早める
- 6 【回収サイトを早める方法その1】取引先などに交渉をする
- 7 【回収サイトを早める方法その2】手形割引を利用する
- 8 【回収サイトを早める方法その3】ファクタリングを利用する
- 9 【資金繰り改善の方法その3】支払いサイトを遅らせる
- 10 【交渉時の注意点】
- 11 【資金繰り改善の方法その4】在庫を処分する
- 12 【過剰在庫の対処その1】在庫を処分する
- 13 【過剰在庫の対処その2】在庫を利用して融資を受ける
- 14 【資金繰り改善の方法その5】税金の延納・振替納税をする
- 15 【資金繰り改善の方法その6】運転資金と設備資金を明確に分ける
- 16 【資金繰り改善の方法その7】専門家を頼る
【STEP1】入金と出金を具体化する
まずは資金繰り表を作成するために、会社の入金(キャッシュイン)・出金(キャッシュアウト)を明確にします。会社の入出金を簡単に図で表すと、以下のようになります。

これらの項目を簡単な日次資金繰り表にまとめると、以下のような表が作成されるでしょう。
【STEP2】入出金を3つの区分に分ける

月次資金繰り表を例にすると、3つの区分に分けた資金繰り表は以下のようになります。

【STEP3】「実績」と「予定」の項目に分ける
実績の部分とは別に予定についても資金繰り表に記載していきましょう。予定を記載して会社の資金繰りを予測すれば、「いつまでにいくらの現金を用意するべきか」が明確になってきます。

【資金繰り改善の方法その1】経常収支と経常外収支を区別する
資金繰り表に決まった形式はありませんが、より具体化するために「経常収支」と「経常外収支」を区別することは、最低限必要になると言えます。「できる限りシンプルにまとめたい!」と考えている方も、少なくとも以下の項目を盛り込んだ資金繰り表を作成するようにしましょう。
4月 | 5月 | 6月 | |
前月繰越 | |||
経常収支 | |||
・経常収入 | |||
・現金売上 | |||
・売掛金回収 | |||
・雑収入 | |||
経常支出 | |||
・買掛金支払 | |||
・人件費 | |||
・諸経費 | |||
・支払利息 | |||
経常外収支 | |||
・経常外収入 | |||
・固定資産売却 | |||
・借入金調達 | |||
経常外支出 | |||
・固定資産購入 | |||
・借入金返済 | |||
収支不足 | |||
次月繰越 |
【資金繰り改善の方法その2】売掛金や受取手形の回収サイトを早める
売掛金や手形による売上が多い会社は、売上から実際に現金が手元に入るまでタイムラグが生じます。このタイムラグによって、現金不足に陥る会社は意外と多く見られるので注意が必要です。
仮に2ヶ月後に入金される予定であった売掛金や受取手形の回収サイトを、1ヶ月短縮するとどのような変化が生じるのでしょうか?以下で具体例を見てみましょう。
前提条件
①4月から3月までの1年間における売上、費用は以下の表に示した通り。 |
②費用は全て現金支払いとする。 |
③売上全体のうち4割は現金売上、残りの6割は掛売上とする。 |
④期首現金残高は600万円。 |
○回収サイトが2ヶ月の場合

○回収サイトが1ヶ月の場合

○回収サイト2ヶ月の場合と回収サイト1ヶ月の場合の現金残高の比較

回収サイトを1ヶ月早めるだけで各月の現金残高が一気に増えることがあります。上記の回収サイト1ヶ月の表のように、毎月現金残高に余裕がある状況を作り出せば、各種支払いに困ることはありません。
また、回収サイト2ヶ月の表の7月に着目してみてください。年間としては黒字経営ですが、7月は一時的に資金ショートの状態に陥っており、黒字倒産のリスクを抱えていることが分かります。
この黒字倒産を防ぐためにも、可能な限り回収サイトを早める努力をするべきでしょう。では、回収サイトを早めるには、具体的にどのような行動を起こせば良いのでしょうか?
【回収サイトを早める方法その1】取引先などに交渉をする
取引先やお得意先に、直接「回収サイトを早めたい」と伝える方法です。手数料などのコストや手間もかからないので、比較的取り組みやすい対策と言えるでしょう。
しかし、自社の回収サイトを早めることは、取引先などの現金不足を引き起こす恐れがあります。そのため、交渉は確実に成功する方法ではありませんし、場合によっては「そんな話は聞いていない」と反発されて信用を失ってしまう可能性も考えられるでしょう。
【回収サイトを早める方法その2】手形割引を利用する
取引先などから受け取った受取手形を利用して、銀行や手形割引業者から融資を受ける方法を手形割引と言います。受取手形を支払期日前に現金化できるので、手形割引も資金繰り対策としては効果的と言えます。
ただし、手形割引を利用すると「割引料」と呼ばれるコストがかかりますし、仮に振出人の会社が倒産をすると受取手形を買い戻す必要性が生じることもあります。
【回収サイトを早める方法その3】ファクタリングを利用する
ファクタリングとは、売掛金や受取手形を現金化する手段のことです。手形割引と違い、手形の振出人が倒産した場合であっても受取手形を買い戻す必要はありません。
最短で即日の現金化が可能ですし、信用情報の影響も受けない手段であるため、ファクタリングを利用することで手っ取り早く資金繰りを改善できる可能性があるでしょう。
【資金繰り改善の方法その3】支払いサイトを遅らせる
「回収サイトを早める」とは逆の発想で、「支払いサイトを遅らせる」という手段も資金繰り改善には役立ちます。利益が増えるわけではありませんが、支払いサイトを遅らせれば手元に残せる現金が増えるので、一時的な資金不足を解消できるでしょう。
上記の回収サイトを早める見出しでは、回収サイトが2ヶ月の場合に7月時点で資金ショートを起こしている点を解説しました。では、この7月以降に支払いサイトを1ヶ月遅らせると、具体的にどのような変化が生じるのでしょうか?
○支払いサイトを遅らせない場合

○支払いサイトを1ヶ月遅らせた場合


支払いサイトを1ヶ月遅らせるだけで以下の2つの変化が生じました。
①各月の現金残高が増えた。
②7月の資金ショートが改善された。
支払いサイトを遅らせるにはどのような行動を起こせば良いのでしょうか?具体的な手段としては、取引先などに対して「支払いを遅らせて欲しい」と交渉をする方法が挙げられます。掛け取引(買掛金)や手形の振出人になるなどの手段も考えた上で、一度交渉することを検討してみましょう。
【交渉時の注意点】
自社からの支払いを遅らせることは、取引先などの現金不足を招く恐れがあります。そのため、相手によっては断られる可能性がありますし、交渉の方法次第では以下のようなリスクが発生します。
① 取引先などからの信用を失う。
② 取引自体が中止になってしまう。
③ 自社の評判が下がる。
【資金繰り改善の方法その4】在庫を処分する
売上が好調だからと言って仕入れを2倍にすると、一気に資金不足を引き起こしてしまう恐れがあります。したがって、一度自社の在庫を見直し、仕入れや在庫が過剰になっていないかを確認してみましょう。
では、仮に在庫に問題を抱えていた場合、どのような対処をするべきでしょうか?
【過剰在庫の対処その1】在庫を処分する
また、商品によっては在庫の管理コストもかかってくるので、仮に仕入れ時より在庫の価値が下がったとしても、処分するだけで資金繰りは改善する可能性があります。
メリット | デメリット | カンタン度 |
・手っ取り早く資金を増やせる・在庫の管理コストを削減できる | ・在庫の価値が下がると、期待通りの価格で処分できない | ★★★★☆ |
【過剰在庫の対処その2】在庫を利用して融資を受ける
ある程度価値のある在庫に関しては、その在庫を担保として融資を受けることも可能です。在庫担保融資は中小企業にとっては効果的な資金調達手段になることもあるので、多くの在庫を抱えている場合は積極的に検討してみましょう。
メリット | デメリット | カンタン度 |
・会社や在庫によっては、多額の資金を調達できる・在庫を保有したまま資金調達ができる(営業活動に支障が出ない) | ・返済義務が発生する・返済不能に陥ると、全ての在庫を失う恐れがある | ★★★★☆ |
【資金繰り改善の方法その5】税金の延納・振替納税をする
資金が不足しているからと言って、つい税金を滞納してしまっていませんか?税金の滞納は「会社の資金難」を意味するので、社会的な信用を失ってしまう恐れがあります。
では、仮に税金を滞納すると、具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか?
① 銀行融資を受けられなくなる。 |
② ファクタリング契約を結べなくなる。 |
③ 取引先・お得意先からの信用を失う。 |
【資金繰り改善の方法その6】運転資金と設備資金を明確に分ける
起業当初の方は、運転資金と設備資金を明確に分けて考えるべきです。この2つを混同して資金繰りを把握していると、運転資金の不足に気付けず資金ショートを引き起こしてしまう恐れがあるためです。
【資金繰り改善の方法その7】専門家を頼る
「資金繰りは難しい…」と感じた方は、専門家を頼る方法も検討してみましょう。具体的な専門家としては、会計士や税理士、行政書士などが挙げられます。
専門家は資金繰りをシミュレーションしてくれるケースが多いので、例えば「資金投下をしたいけれど、リスクが大きすぎないか不安」という場合などでも、専門家を頼ることで冷静に対処しやすくなります。ほかにも、専門家を頼れば以下のようなメリットを感じられるでしょう。
①過剰な投資など、経営のリスクを避けられる。 |
②最善の節税対策を教えてもらえる。 |
③経営者が事業に集中できる。 |
専門家に依頼をするともちろんコストはかかりますが、そのコストを支払ってでも専門家に任せたほうがお得になるケースも少なくありません。近年では無料相談を受け付けている専門家も見られるので、「1人では難しい…」と悩んでいる方はまず相談をするところから検討してみましょう。